Aria Salon Concert「文明開化の音」 三つの会
今回の「文明開化の音」は、千鳥クラヴィアハウス単独主催の会。ある一日の中で、三つのそれぞれ独立したピアノ発表会を行いました。
開催の舞台となった赤煉瓦文化館は、105年にも渡る老朽化もあり、収容人数の制限が大変に厳しく、一度に入れる人数を考慮した結果…、
・初等の部(低学年齢)『A』
・中等の部Ⅰ(小学校上級生以上)Ⅱ(ゲストも交えた学生の部)『B』
・大人の部(仕事を持つ年齢以上)『G』
と、主に年齢構成でできあがった三つのコンサート。シシリー・メアリー・バーカーさんの美しいイラストで制作したそれぞれのカードが麗しい雰囲気を添えてくれました。
小さな子どもたちは、おもいきりのおしゃれもあり、演奏の印象もアップ♪ やっぱり可愛いものです。子どもはいいですね。最後のレッスンまで、先生や親をヒヤヒヤさせていても、その日を迎えてみると、実に屈託なく反応します。
この日のプログラムの中で、中等の部後半にあたるBugleⅡは、音楽への取り組み姿勢がしっかりしている将来世代を集めました。ヴァイオリンやチェロ男子もここでの出演が主体です。ピアノプログラムに混じって、ショパンやバッハなどをソロで演奏してくれました。
演奏の進行につれてのプログラム内容案内ですが、今回は曲名を読み上げるだけではなく、ほとんどの会で、私自身で解説も行いました。赤煉瓦文化館は、ホールではなく広い部屋での演奏会。目指したかったことは、暖かで平和な雰囲気。それで、今までの慣れきった定例や思い込みに縛られず、お聴きいただく方々に積極的に語りかけも大切! 私の場合、トークコンサートとまでは行きませんが、最近、クラシックもそういうアクセス方が増えてきた気が致します。私はせいぜい用意した原稿を読み上げるのみですが、プロの方々、本当に上手です。
一方、大人の部では、むしろそのマイクを、その人自身にお持ち頂いて、普段の職業やピアノとの関わりについて、演奏の前に喋って頂きました。それにより、演奏の向こうにパーソナリティを感じ、一同が仲間になれたような温和な空気が漂いました。演奏の出来不出来とは別の、味わいがあります。『大人の部が一番良かった』と後で印象を述べて下さる方もおいでで、それは私にも嬉しい感想でした。
私ごとですが、実は、当日38度を超える熱で、体調最悪のコンデション。終了後は、こそっと考えていた打ち上げどころではなく、帰宅あるのみ。ぐたっとしつつも、今日は演奏者と観客をコネクトできた!と自負も感じた夜でした。
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Aria Salon Concert 「文明開化の音」 ~終わってみて~
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人前での演奏は、私だって構えてしまいます。馴染んだはずの鍵盤が、弾けない弾けないとビームを発しているかのようです。でも全員が、まぁまぁ無事に形にして、最後まで弾き終えました。オメデトウ!
上手に弾けて満足であれば、もちろん願ったり叶ったりです。 ただ本来のこういう会の意義は、少々苦しみも感じながらも、本番の日まで諦めず、上り坂を登ってきたその過程にあるのではないでしょうか。
だから必ずしも結果に満足でなくても、十分に価値のあることをしてきたんだと先生は思うのです。
自分が失敗することで、人の失敗の痛みや辛さもよくわかります。
その優しさが持てるのは、失敗したことがある人間だけではないでしょうか?
意外に器用に対応する子どもに対して、オトナの人は、気ばかり回して自分を複雑な所に落としこんでしまいがちです。
私もそれです! それが職業と語っているピアノだと、なおさら自意識過剰になり、あとで可笑しくなっちゃうくらいです。
ま、成功した人も、悔いが残った人も、事情でプログラムに載らなかった人も、次なる階段をまた登りましょう♪
実はこのコンサートのお話、まだ続きます。