ファストピアノ?
ファースト…第一の、でもなく
ファストといっても…VivaceやPrestoのようにテンポが速いという意味でもない
ファストピアノ。
クラヴィアハウスには、普通のクラスの他に、年間◯回といったフリータイムの授業があります。そしてそれとは別に、特別な試験や会の為に、さらに限定的な期間のみ集中的に演奏を学びたいという希望やご相談を頂くことがあります。
試験対策として、教員試験の二次や、又、結婚式での花嫁さんご自身の思い出の曲の演奏など、現在まで様々なバラエティに富むお問い合わせを受けてきました。
「この期間でこれを弾かなくてはいけない!」
そう、ここで言うファストピアノとは、「すぐに弾けること」を目的とした習い方です。
たまに仰天のケースもありますが、悩んだ挙句、危機感を乗り越え、しっかりした目的意識があるテンポラリースチューデントさん達はわりと頑張って、一心不乱の成果をあげます。
その結果、もたらされる嬉しいニュースやホットな報告。こちらも、短期集中決戦だからこその緊迫した場面を思い起こしては、ほっと胸を撫で下ろします。
独学とレッスンを受けることとの違いは、まずは客観性において大きな開きがあること。そして弾き方のコツや練習方法のアドバイス。場合によっては伴奏をシンプルに変えてしまうという英断。本番で予想されるプレッシャーに対して、少しでも安心で自信が持てる要素を作ること。これらの対策や手段です。
レッスンのもたらすもう一つの効果は、孤独な戦いではなくなること。慌てる気持ちからすぐに全体を気にしてしまい、通して通して通してといった練習になりがち、しかも不安が拭えないのに対して、横でアドバイスをする存在があるだけで、生まれる安心感は大きいものです。
臨時でピアノレッスンを受けられる場所は、全国レベルではもちろん幾つも存在しているでしょう。授業法は、当然様々で違うもの。またこの短期集中決戦は、まず習い手の熱心さ次第で、全国一優れた所に行ったとしても、その結果はそう変えられるものではないと思います。
私はその意気と決心をよく見るようにしています。
本来、スローライフ思考といえるピアノの学びも、たまにファストフードのように即座な出来を求められる時もあります。教わる方と技術者、昨日まで知らぬ者同士が、一つの目的を達成せんと団結します。
「あの人は今日、どこまで弾けるようになったかな…」と、私生活のシーンでふと頭をかすめます。レッスンで会う度に「さぁ、どう?」と、最初の一弾きが待ちきれない、そんな過程の緊張感も悪くないものです。
願わくば、いつかゆっくりとピアノに親しむ生活が訪れますよう♪ ほんの短いひとときを過ごし卒業していった彼らに。
What is not started today is never finished tomorrow.
ドイツの詩人ゲーテの言葉 Johann Wolfgang von Goethe
今日始めなかったことは、明日終わることはない。