POWER
この時期になるといそいそとカメラを携え、千鳥教室のモッコウバラを見上げます。
モッコウバラ(木香薔薇)の話題は今まで何度も書いてきたように思いますが、バラとしては、かなりナチュラルな風情のこの木。
ほとんど手がかからず、自分で好きに成長していくイメージのモッコウバラは、私に「自由闊達」ということばを思い起こさせます。
家の表側の殆どを覆ってしまう勢いで、枝を張り巡らし、四月後半には、真っ白な花でいっぱいになります。
このバラ、スタート時は特徴もよく知らず、園芸店で小さな苗を安くで買い求めたものでしたが、最初の数年はおとなしく小さなままでした。ところが、三年目か四年目で急に来たのです。そこからは目を見張るばかりに、ぐんぐんと大きくなり、花後からその年いっぱいは気前よくガンガン剪定を繰り返しても、毎年翌春には、花爛漫で楽しませてくれるようになりました。
人の心身の成長もぐん!と勢いがつく時ってありますよね。その意味で、子どもたちと関われる仕事は幸福といえます。進化を横で見ていられるのですから。
ですが今日は残念なことに、春の恵みや人の成長という明るい話で終わることはできません。
今、同じ九州で苦難の時を過ごす人がたくさんいらっしゃいます。
私達が最も頼りとする大地。それがどうしてこんなに多くの人々を傷つけ、涙させたのでしょうか。
私は何一つ役立つことができません。ただ100キロ先の隣県を繰り返し思い、平静に戻るよう祈り、そこから先の一歩一歩の復活を見守るのみです。
今、「勇気づけられる!」と注目されている一つのCMがあります。2011年のJR九州新幹線全線開業のTVコマーシャルを、たくさんの人が再び見始めているのです。
九州を縦に結び繋ぐことになった待望の新幹線、これを沿線の住民参加型のお祭りにするべく、当時、JR九州が呼びかけたところ、すぐに募集した一万人に達しました。彼らが走る新幹線に向かい、手を振ったり、パフォーマンスを披露する、土地と土地を結んだ人々のウエーブ。それを車窓から一発撮りした映像コマーシャルが作られました。 歌は日系スウェーデン人のマイア・ヒラサワさん。喜びに沸く人々の心が、彼女の歌う「Boom!」という曲によく表されています。2011年放送当時、私はこのコマーシャルをいっぺん見ただけですぐにお気に入りになりました。
さて、そしていよいよ開業前日、お祭りムードがまさに最高潮の時に、あの東日本大震災が起きたのです。 日本中が、祝賀行事自粛の空気へと一転し、結局、ほんの三日間しか流れなかった幻の名CM。
それが今回の熊本大分の震災では、むしろ、九州中の人を力づけてくれる内容として、再び広がって行っています。
今日の最後に。
Kites rise highest against the wind – not with it.
- Winston Churchill (ウィンストン・チャーチル・英/政治家) -
凧が一番高く上がるのは、風に向かっている時である。
風に流されている時ではない。